6 自然再生を通じた地域づくりの推進

この施策では、地域産業と連携した湿原の「ワイズユース」(賢明な利用)(4)により、釧路湿原を保全・再生することによって、将来にわたり地域産業が豊かになる取り組みを進めます。

(1) 現況と課題

流域の観光入り込み数は、国立公園指定後に急増し、近年はアジア諸国からの来訪者も増加しています(図5-16)。観光の形態も多様化し、エコツアー、カヌー、バードウォッチングなど、釧路湿原ならではの自然資源を活かした体験型観光が盛んに行われています。また、近年は避暑地として道外からの長期滞在者が増加している他、流域市町村では移住者の誘致も活発に行われています。

 協議会では、湿原の保全と利用促進を両立させるべく、釧路川のカヌー利用者に対するガイドラインの作成、自然再生の見学や体験機会の提供、鶴居村をモデルとしたガイドマップの作成等を進めてきました。

 しかし、地域の産業と自然再生の相互貢献のあり方は十分に形が見えておらず、その方向性や推進方策は検討途上にあります。今後、地域経済・文化の担い手との対話や自治体との政策連携を深め、湿原やその周辺の環境を持続的に利用する産業発展のあり方を検討し、連携を図る必要があります。

 なお、湿原の活用促進にあたっては、利用マナーに関する問題やオーバーユース(過剰な利用による環境悪化)が懸念され、これらに対する配慮が必要です。併せて、地域の観光資源である景観の保全や廃棄物等の環境負荷の低減についても考えていく必要があります。

(4) 「ワイズユース」は、健康で心豊かな暮らしや産業などの社会経済活動とのバランスがとれた湿原の保全を推進し、子孫に湿地の恵みを受け継いでいくための重要な考え方です。人間の行為を厳しく規制して湿地を守っていくのではなく、湿地生態系の機能や湿地から得られる恵みを維持しながら、私たちの暮らしと心がより豊かになるように湿地を利用する「ワイズユース」を進める取り組みを実施可能なことから進めます。

(2) 本施策において達成すべき目標、目指す状態(成果目標)

湿原の「ワイズユース」(賢明な利用)の実現に向けて、以下の3つの目標ごとに具体的な施策を展開します。

  1. 自然再生と地域の産業・文化の振興を両立させる具体的な取り組みが事業化、政策化され、自立的、継続的に進められている状況を目指します。
  2. 湿原の利用に関するガイドラインやルール作りを進めます。
  3. 産業やくらしの中での環境負荷軽減や景観への配慮が進み、地域で認知、定着するとともに、来訪者にも伝わっている状況を目指します。
(3) 実施すべき内容・手法(行為目標)
  1. 観光などの地域振興による湿原の賢明な利用
      ・釧路湿原を活用した観光振興に向けて、新たな観光メニューの導入を図る ・自然再生活動や地域産業に参加したりするなどの「エコツーリズム」型利用を推進する
  2. 地元産業との連携の検討
    • ・自然再生による農業や漁業などの地元産業への貢献について検討し、可能なことから実施する
    • ・湿原や流域の自然を活かした地場産品の付加価値向上を検討し、地元産業との連携を進める
    • ・環境の保全と地域の産業発展が経済的に両立するように、生産者と消費者の理解を深める方策を進める
  3. 湿原の利用に関するガイドライン・ルールづくり
    • ・湿原と関わりの深いレクリエーション利用による自然環境への影響を把握する
    • ・自然環境への影響について、緊急性の高いレクリエーションについて、関係者間の合意形成を図りつつ、利用のガイドラインやルールづくりを行なう
    • ・湿原について深く学習したり、再生活動や地域産業に参加したりするなどの「エコツーリズム」型利用を推進する
    • ・利用の適正な誘導を図るために、標識などの整備やガイドブックなどの作成を行なう
  4. 産業やくらしにおける環境や景観への配慮
    • ・日々の暮らしや産業、観光における環境配慮の必要性(有効性)を地元の方々や来訪者に働きかけていく
    • ・地域の財産としての湿原景観を保全する機運を高めてい
(4) 成果の評価項目・評価手法の例
  1. 観光などの地域振興による湿原の賢明な利用
    • ・自然再生と観光振興の両立に向けた事業、行事等の実施状況
    • ・新たなツーリズムの成立状況(長期滞在移住者の参加状況等含む)
    • ・自治体政策や地域づくりへの波及状況
    • ・長期滞在者数
    • ・道路の交通量
    • ・関連施設の利用状況
  2. 地元産業との連携の検討
    • ・地域の産業関係者との対話や連携の実施状況
    • ・地元産業との連携に関する有意な進展の事例
  3. 湿原の利用に関するガイドライン・ルールづくり
    • ・レクリエーション利用等による負荷の減少
  4. 産業やくらしにおける環境や景観への配慮
    • ・環境負荷低減や景観配慮事例の収集発信状況
    • ・環境景観配慮に関する報道状況や新たな取り組みの誘発状況

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